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潮田健次郎の経営道場2 売り上げを伸ばすためには何が必要か

潮田健次郎の経営道場2 

●売り上げを伸ばすためには何が必要か

●住生活グループ前会長 潮田健次郎

日本屈指の創業経営者である潮田氏が豊富な経験に基づいて持論を展開するとともに若手経営者のさまざまな疑問、想いに答える。今回は「企業家の条件とは何か」をテーマに、若手有力経営者たちと盛んな意見交換がなされた。(この記事は企業家倶楽部2003年8月号掲載のコラム記事「潮田健次郎の経営道場」からの抜粋です)

●企業家とはイノベーションができる人

 企業家には二つの種類があります。伝統的な大企業の経営者、例えば日産自動車のゴーン氏などは大企業家です。その前の歴代の社長は企業家ではなかったと思います。彼らは日産という長い間作り上げられてきた会社を維持管理しただけだった。ゴーン氏が日産に入って一番びっくりしたのは、日産自動車が十数年間に渡ってマーケットシェアをどんどん下げ続けていたにも関らず、何も手を打っていなかったということ。歴代社長は日産を強い会社に作り直すというイノベーションができなかったのです。ですから、日産に初めてゴーン氏という企業家が入った途端、様変わりになってしまった。株価もすぐに上がり、どんどんシェアが上がり始めた。

 同じことはアサヒビールにも起きました。今から十年くらい前、樋口廣太郎氏が住友銀行の副頭取からアサヒビールに来た。アサヒビールも二十年間シェアを下げ続けた会社でした。だから本当に元気のない会社だったのですが、樋口氏が社長になった瞬間、ガラっと変わってしまった。ものすごいスピードでキリンビールを追い上げ、抜いてしまった。樋口氏の勤めた期間は実はあまり長くない。約八年くらいなんです。でも彼はアサヒビールの時価総額を五千億円高めた。企業家とはそういう改革をする人を言うのです。自分の全責任のもとに会社を立て直し、ものすごく元気のいい会社にして行く。一般に企業家というと、創業者を含めて会社を所有している経営者を言うのですが、そうではなく、自分の全責任で仕事のイノベーションができる人。それが企業家です。それからもう一つのタイプは、自分で事業を興した人。これは自分の全責任のもとに事業を立ち上げて、イノベーションを行うことにより企業を確立して行く人たちです。

●シュンペーターのイノベーション理論

 “イノベーション”という言葉を最初に言ったのはシュンペーターです。彼は経済成長がどういうときに起こるのかを検討した。そして一九二〇年代に、「イノベーションが起きたときに経済は成長するんだ」ということを初めて言った。その国の経済なり産業なりが成長するためには必ずイノベーションがある。新しい経営方式や新しい企業が出てきて、古い企業を破壊していく。「創造的破壊」と言っているのですが、それで経済が成長し、国が成長していく。それがなければ経済成長はありえない。

 イノベーションの中身は新しい財の投入、新しい生産方式の導入です。これはまさにトヨタに当てはまる。トヨタはすごく新しい生産方式・技術を作り上げ、まさにこれで成功した会社です。

 それから新しい市場の開拓、原材料の新たな供給源の開拓、新しい組織の導入。これを「新結合」と言っています。例えば蒸気機関車は蒸気機関と輸送手段との結合によるイノベーションでできた。そのように何か一つの技術ができたとき、それを上手く事業に結合させたときにイノベーションが起きる。

 私はシュンペーター氏がもし今生きていたら、きっと「ITの利用技術の開発」というものを入れたと思う。これを上手く使うことにより、大イノベーションができるのです。

●時代を超えて成長する会社の五つの共通項

 最近話題になっている本に『ビジョナリーカンパニー(時代を超える生存の原則)』があります。この第二巻がすごくいい本で、私は年に一度必ず読み返そうと思っています。その中に百年前の大企業はほとんど消えてしまっているけれど、中にはすごい会社があって、GEのようにエジソン以来ずっと時代を超えて大成長している会社もある。そういう会社には次の五つの共通項が当てはまる、とありました。

1、社運をかけた大胆な目標を持つこと。

 例えば樋口氏がアサヒビールの社長になったとき、オーストラリアやアメリカから輸入ビールが盛んに入ってきていた。これが非常に安かったので、ビール業界は輸入ビールにシェアを取られてしまうのではないかと非常に心配していた。そこで樋口氏は、思い切ったことをやったのです。まず販売店を回って歩き、一定の日付以前のものは全部回収した。膨大なものを引き取って、全部それを新しい商品に入れ替えた。すると輸入ビール人気はピタッと止まってしまったんです。「ビールは生鮮食品で、作った瞬間が一番美味しい。一ヵ月経ったらもう味が落ちる」と。それを口で言っても分からないので、古いビールを全部引き上げた。それが話題になってみんなの頭に焼きついてしまった。本当は比べてみてもビールの味の違いなんてよくわからないんです。でもとにかく輸入ビールは古い、二ヵ月も経っている、そんなものは飲むものではない、という意識が国民の頭に入ってしまった。そしてアサヒビールのイメージがグンと上がった。あの大芝居ができたのはすごい。まさに社運を賭けた大胆な手を打ったわけです。

2、カルトのような文化をもつ。
 この“カルト”というのは、本当に信仰のような、この会社はこれだけは絶対にやりぬくんだ、という一つの文化みたいなもの。そういった文化をもっているかどうか。

3、大量に試しうまくいったものを残す。

4、生え抜きの経営陣を持つ。

5、決して満足しない。

 百年間続いた会社には、大体この五つの共通項があるということがその本に非常に詳しく書いてあります。

●リーダーの条件

 それから、竹内靖雄氏の『衰亡の経済学』という本の中に、“リーダーの条件”というものがあります。これは非常に難しいことなんですね。例えば「並みの人間には思いつかないような目的を設定する発想力」が必要である。「与えられた問題を説くだけではなく、問題を発見し、問題をつくる能力」「目的を達成するためにユニークな手段、方法を案出する能力」「特に突発的な異変が起こった時に救いの神になれる力」、これは“よし俺がやってやるよ”と言って解決できる力ですね。「自分のアイデアや方針を明快に説明し、説得する能力」、竹内氏は、これが日本人が最も不得手だと言っています。

 またドラッガーは、企業家の絶対条件は「真摯さ」だと言っています。ひたむきな努力をしなかったら絶対に成功しない。全精力を事業に打ち込んで行く集中力があるかどうかも成功の大きな条件です。エジソンは、研究所の隣に家があったのですが、家に帰るのがもったいないと研究所に寝ていた。そのようなものすごい集中力のある人でした。こういうものすごい努力を積み上げて行かないと、企業家は成功しないのだと感じます。

●質疑応答編

●企業家には賞味期限がある

F(ファンドマネージャー) 私は投資家という立場で毎日たくさんの経営者とお会いします。そこですごく思うのは、経営者には賞味期限があるのではないかということ。それは年齢とは関係なく、四十代でも死んでいる人もいるし、七十、八十歳になっても生き生きしている人がいるんです。

潮田 同感です。社員にも、その人の“盛り”がある。能力を発揮していたのに急にダメになってしまうということがよくあるんですね。またはなかなか頭角をあらわさないでいたのに六十歳くらいになって急に頭角をあらわしてくる人もいる。体力とはあまり関係ないと思います。

 私の体験で言いますと、実は五十五歳くらいの時に大ピンチがありました。それは体力の問題ではなく、脳のホルモンの問題です。元気が出なくなってしまった。そして物をじっと考えることがどうも面倒臭くなって、人になるべく会いたくない。いわゆる鬱の状態です。猛烈に仕事をしていると、脳もくたびれて鬱状態に入る。鬱というのは、脳の全体を司っているある種のホルモンの分泌がすごく低い状態なんです。

 辛くて仕事がどうしてもできないので、精神科へ行って薬をもらいました。とにかく軽いうちに早く治すことです。人間はいろんなところが徐々に衰えてきますから、その衰えを絶えずカバーしていくことが大事なんですね。健康と能力とはものすごく重要な関係がある。体を常にベストの状態にしておかなければならないんです。今は薬が発達しているので、一人で苦しまないこと。私は社員に、仕事ができなくなったらすぐに精神科に行けよ、と言っている。その際大事なことは、専門医でなければ駄目だということ。内科の先生に精神科のことを相談したって検討違いのことになります。だから各専門の医者を五、六人は知っていないといけないですね。

I(ガス会社社長) Fさんはどういうときに「この人はもう賞味期限なのかな」とか感じられるのですか。

F もちろん体力もあるのでしょうが、あるイベントでよくそういうことがおきると思います。イベントとは、大きいものでいうとまず上場。特に東証上場で燃え尽きる人は結構多い。あとは、新本社ビルを建てた瞬間に燃え尽きてしまう。上場を一つの目標に頑張らせるというのは、実はかなり安直な方法でもあるんです。もちろん上場は大事ですが、“社運をかけた大胆な目標”を持たないと、一つの分かりやすい目標を達成した段階で社長が燃え尽きてしまう場合が非常に多い。

●売り上げを伸ばすには

T 潮田さんの場合、目標は年代、ステージによって変わってきましたか。

潮田 例えば、「いつまでに五百億円を達成しよう」と考えて、達成すると今度は一千億円、それを達成すると今度は五千億円、さらに一兆円、という具合にやってきましたね。今は三兆円を目標にやっています。それから八%利益を上げる計画を持っている。ただその際、そのための方策をきちんと決めて明示していかなければならない。どうしてそこまで利益を増やすのか、どうやって利益を上げるのかを具体的に教えるわけです。私は週に一度全社員にメールを送っています。言うことはいつも同じですが、それをいろんな角度から書いている。みんな忙しいので、A4版一枚で一つのテーマに三行以上は書かない。それをもう十年くらいやっています。

T 売り上げを伸ばしていくには、何か秘訣はありますか。

潮田 今の時代、黙っていると売り上げはどんどん減ってしまうんです。値段が下がっているので。売り上げを増やすには、下りのエスカレーターを駆け上がるような力がないと上がって行きません。

 売り上げが減るというのは非常に恐ろしいことで、人が余ってしまうんです。それで経費を減らすために人を切ると、非常にまずい結果になる。私は何回も景気が悪くなったりピンチがありましたが、解雇は一度もしていません。人間の力は安心しているときにしか出ないのです。自分から辞めない限りはこの会社で働けるんだ、という信念を持ってくれないと力が出ない。また人を増やさないと社員がどんどん高齢化し、平均年齢が四十とか四十五歳になってしまう。どうしても平均年齢を三十一、二歳で揃えておきたい。今うちの平均年齢が確か三十二、三歳くらいです。絶対三十五歳以上にはしません。

 売り上げを増やすには新しい事業を興す以外にない。これはいけそうだな、という人にどんどん新しい事業を興してもらう。すると年配の人などはどんどんそっちへ行く。もちろん新しい事業には大赤字が出ているところもたくさんあります。でも今みたいな時期に事業を起こせば、十年、十五年は赤字と闘わなければ絶対に立ち上がらないんです。しかしそれをやって、黒転したときに初めてみんなが一人前になる。

T そういう新しい事業は、みなさんに考えさせるのですか、それとも会長ご自身が考えられるのですか。

潮田 両方ありますが、大体私が考えます。その方法は、世の中にない仕事を探すんです。真似たら絶対に駄目です。誰もやっていない分野で、今一番人が困っていることは何か、今社会が満たしていないことは何かを常に考える。そしてそれを見つけたら、すぐに研究開発に入る。専門家を呼んで勉強会を開き、一年間か二年間くらい開発にかけて、発売する。それでも、やはり軌道に乗るまでに五年とか八年ぐらいかかる。でもこれが立ち上がってくると、非常に大きな売り上げになります。このように私の仕事はいつでも新事業を考えることなのです。

T あるいは自分が一番欲しいものでもいいかもしれませんね。

●真摯さがあってこそ、創造力が発揮される

F 私は今大学で教えているのですが、そこでたった一つのことだけ教えたいと思っています。それは、「与えられた問題を解くだけでなく、問題を発見し問題を作る能力」。企業家が共通して持っているのはこれなんです。でも普通の学校を出て入社すると、みんな口を開けて課題を待っているだけ。社内でそういう人たちを作っていくにはかなり意識していなければならないと思うのですが、どうすればいいのでしょうか。

潮田 私はビジネスの雑誌をとてもよく読みます。「ダイヤモンド」、「東洋経済」、「エコノミスト」、「日経ビジネス」を自宅に送ってもらって、これを毎週末、全ページ読んでしまう。その中で特に事例を探します。その事例をどのくらい持っているかが勝負なんです。つまり自分で闘わずして失敗の事例と成功の事例を全部マスターしてしまうんですね。自分で体験してこういう結果が出た、というのではあまりにも人生は短すぎる。

 読んでいると、偽物がずいぶんあります。成功しているようでも、この人は失敗している、とすぐにわかる。それは、この仕事で本当にお客様が喜んでいるんだろうか、ということです。いくら儲かっていても、お客様に対してどれだけ貢献しているか、お客様が本当に喜んでいるかが立証されないかぎり、成功はしない。そこのフィードバックができていないものは偽物です。それではうまく行きません。

H(雑貨メーカー社長) 私の会社はものづくりの会社で、インテリアとしての美を備えたプロダクトをどんどん世の中に送り出そうとしています。だからうちの会社にとって創造力や問題を作る能力、新しいものを作っていく能力が成長の源泉です。でも基本的には口をあけて問題待ちしている人間が多い。私が創造したものを推進する力を持つ人間はだいぶ揃ってきているのですが、逆に創造力を持って登っていく人間がいない。早くそういう人間を作りたいと思っているのですが。

潮田 社長が新しいものを作り出すのは、社長が真剣だからです。ドラッガーが言う「真摯さが必要だ」というのはまさにそれで、本当に真剣にその仕事に取りかかっていかないうちは出てこないものなんですね。やはり社長が一番真剣なんです(笑)。

 それからもう一つ、そういう才能を持った人に出会うことがどうしても必要です。私はアルミサッシ事業に参入するときに、アルミの世界はまったくわからなかった。ところが新潟の工業高校の木材工業科を出た青年がいて、彼が大変な能力を持っていた。彼がアルミサッシの開発を次から次へと成功させたんです。成功している会社には必ず社長以外にそういう人が一人はいる。そういう人に出会えるかどうかは運なので、わからない。でもそういう人に出会わなければ大成はしません。うちはその当時社員が百二、三十人いましたが、そういうことができたのはたった一人でした。本当に天才でしたね。それで、その後またそういう人が続々と出てきました。一人そういう人がいると、触発されて何人か出てくるんですね。

I 会長のアイデアを具現化したり事業化してくれる人材の育成の仕方、選び方、そういう人が育ってくる環境をどうやって作ってきたのかを教えていただきたい。

潮田 それは次回のテーマなんです(笑)。

T ではみなさん次回をお楽しみに(笑)。今日はどうもありがとうございました。

潮田健次郎(うしおだ・けんじろう)プロフィール

1926年東京都生まれ。小学6年生の時、結核でサナトリウムに入る。家業の建具屋を関東最大の建具卸問屋に発展させる。66年住宅用アルミサッシ事業に進出、翌年東洋サッシを新設。アルミ建材総合メーカーとして事業を拡大し、85年に株式を上場。92年社名をトーヨーサッシからトステムに変更。2001年INAXと共同持株会社INAXトステム・ホールディングスを設立、会長に就任。2004年10月にINAXトステム・ホールディングスから住生活グループに社名変更。

KIGYOKA.COMより
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