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潮田健次郎の経営道場3 組織活性化と人材育成の方法

住生活グループ前会長 潮田健次郎氏の経営道場3 

●組織活性化と人材育成の方法

●組織を活性化させ人材を育成するためには何が必要か

日本屈指の創業経営者である潮田健次郎氏が豊富な経験に基づいて持論を展開するとともに若手経営者のさまざまな疑問、想いに答える。今回は「組織と人材の育成方法」をテーマに、若手有力経営者たちと盛んな意見交換がなされた。(この記事は企業家倶楽部2003年10月号掲載のコラム記事「潮田健次郎の経営道場」からの抜粋です)

●PDCAを実現する

 経営とはPDCAです。Plan、Do、Check、Action。計画を立て、実行し、その結果をチェックし、改善すること。このサイクルを繰り返すことが企業経営の鉄則です。

 まずは計画。目的・目標・方策・計画という四段階があります。第一に目的です。なにを実現したいのかという企業理念を考えます。次に目標。目的を実現するためには、こういうことをやろうと決めるのです。そして、そのためにはこれが必要だというのが方策です。いつまでにしようと決めるのが計画です。この四点セットにすることです。この四段階が決まった後は、各部門ごとにトップが自分たちで何をするべきかと考える。

 計画が決まれば、実行します。これは現場の仕事です。次に、チェック。現場の進捗状況を見極め、評価し、問題点とチャンスを発見します。そしてアクション。計画の見直しや問題点の是正を行います。いい結果であれば繰り返し、悪い結果であれば直します。

 このとき大切なのは、コミュニケーションです。日本人がコミュニケーションを苦手とするのは、この四つのどれかが欠けていることが多いからです。例えば、計画は決まっているのに、実行が進んでいない。チェックはしていても、改善を行ってないなどです。コミュニケーションが取れていないんですね。理念と現場がかみ合っていない。そうならないためには、社員が社長に思いを伝えられるしくみを作ること。

 例えば、社員がこういうところを直したいと社長に話せるようにします。社員と社長が自由に行き来できて、コミュニケーションをとれる体制を作っておくこと。そのためには、組織の階層を少なくすることです。各部門のトップは直接社長と繋がっていなければいけません。社長がいて、専務がいて、という二階建ての組織図を作ってはいけません。中間をなくすことが大切です。

 経営はいかにコミュニケーションをスムーズに進められるかにかかっています。PDCAの本質とは、コミュニケーションなんですね。PDCAサイクルを継続的に繰り返すことによって、コミュニケーションも作業状況もよりよく改善されます。PDCAは、全社員の知恵を引き出し結集して、計画を達成していくという経営技術なのです。

●理論型の参謀を持つ

 社長には必ず参謀がいなければなりません。参謀とは「その会社の問題はなにか」を社長に本音で提言できる人のことです。社長とは正反対のタイプであることが重要です。   人間には二種類いるんですね。直感型と理論型です。直感型は、ひらめきで動きます。起業家にはこのタイプが多い。理論型は、十分にデータを集め分析してから行動します。このタイプは、必ずファイルを持っている傾向がありますね。

 直感型は短期で成功し、理論型は長期で成功します。企業を立ち上げるときには、オーナーが直感型であれば、理論型を参謀にしておくことが重要です。私は直感型でした。思いついたことをすぐ実行してしまう。これだと成功確率が六〇%から七〇%になります。参謀に理論型がいれば、成功確率はもっと高まります。八〇%から九〇%にはなる。例えば、私が「こういうことをしよう」と言えば、「ちょっと待ってください、データを調べますから」と参謀が言ってくれるわけです。即断即決が重要なときもありますが、長期で成功しつづけるためには、理論型の参謀を持たないといけません。そうでないと、短期で成功しても後が続かないのです。

 ただ残念なことに、理論型の人はなかなか評価されない傾向にあります。直感型の人は行動力があるので、目立ちますし高く評価されるけれども、データ型の人たちも大切な人材なのです。じっくりとデータで観察する人が実態を掴んでいれば、絶対に失敗しません。

●社長はたえず現場に出る

 社長はたえず現場に出ることが大切です。現場での社長の仕事は、問題点とチャンスを発見することです。現場ではなにが問題になっているか。そして、どういう機会があるか。このどちらも正確に把握します。これに社長の六〇%の時間を費やします。そのための日程と時間管理も重要です。社長は年齢を経てくると、体力の衰えなどから、現場に出る機会が少なくなりますが、これはいいことではありません。現場に最も重要な情報があると常に意識することです。

●たくさんの上司から学ばせる

 人材を育てるためには、同じ上司に五年以上つけてはいけません。学ぶ機会がなくなってしまいます。ナポレオンは、「七年間、人も組織も変わらなかったら必ず停滞する」と言っています。これは大変重要なことです。例えば、十年間同じ部署で働いていると、話題も限られてきます。人間の幅が狭くなるんです。ですから、いろいろな部署へ行かせて、さまざまな経験をさせることです。部下は上司のいいところと悪いところを学びます。いい上司からは自分の師匠としてそのノウハウを吸収し、悪い上司に当たったときには反面教師として学ぶことです。

●人を育てるには、20年から30年かかる

 人を育てるには、二十年から三十年かかります。時間をかけて磨き上げるという視点が大切です。人材を短期に作るという考えではいけません。地道に長く育成することによって、生え抜きの社員が生まれるのです。その社員を経営陣にすることで、中枢となる軸を固めます。そうすれば自然と結束の強い組織になります。

●どんな時でも明るい展望を示す

 日本電産の永守重信さんは大成功した新しい経営者で、とてもいいことを言っている。「能力の差は五倍、意識の差は百倍」だと。できる人とできない人の能力差は五倍、ところが意識の差は積極的な考え方をする人と消極的な考え方をする人では百倍も違う。社長は社員を積極的にさせるために、常に明るい方針を提供すること。リーダーシップには、明るさが必要です。

 もう一つのいい言葉に、哲学者のアランが『幸福論』という著書でこう述べている。「悲観は気分に属し、楽観は意志に属す」。これは絶対に忘れてはいけない言葉です。前途が明るいかどうかは、社長が決めること。どんな時でも明るい展望を示すのです。

 ただ業績が悪いときは、明るい展望を示しても、なかなか説得力がでてきません。「今年は売り上げをこれだけ伸ばし、これだけの利益を増やす」と社長が言っても、社員は信用していないんです。黙って聞いてはいるが、腹の中では達成できるわけがないと思っている。負けグセがつくと恐いんですね。いつまでたっても回復の兆しが見えなくなる。この期間が一番辛い。十年間くらいは苦労しますが、けっして諦めてはいけません。明るい展望を示しながら、地道に実績を残すことです。

 事業が成功しはじめると、一変します。私の場合ですと、一千億円の売り上げを達成しときに、「これからは五千億円にしよう」と言った。すると社員が「社長、絶対できますよ」と言うんですね。モチベーションが上がって、やる気になっているので、積極的になるんです。社長を信用するんですね。

●小さな成功でもお祝いをする

 目標を達成したら、お祝いをします。たとえ小さな成功でも表彰する。社長が心から社員にありがとうを示す。これもコミュニケーションです。「よくやった」という言葉だけでは伝わりません。いつもどこかでお祭りをすること。小さな成功体験を共有して、積み重ねること。そうすれば表彰を受けた人は認められたのが嬉しくて、これからさらに頑張るようになります。他の社員も「次は私が」とモチベーションが上がります。これをしないと、何をやっても変化がないから、やりがいがないんですね。社内コンクールをやって、優勝した人を祝うなど、どこかで必ずお祭りをすることです。

●二倍働いてもらい、三割給料を多く出す

 私の尊敬する経営者に、松下幸之助さんがいます。大阪にある松下電器歴史館の開館に一番最初に駆けつけて、館長にいろいろなお話をお聞きしたことがあります。松下さんは学校に行っていなかったんですね。しかし学生以上に勉強をしつづけていた。本をたくさん読んでいる。日本が誇る学者の方たちと肩と並べるくらいの知識をそなえ、知性と教養を兼ね備えた人だったんですね。人の話も本当によく聞いている。そして、学者ぶったことは言わず、常に優しい言葉で本質を話すんですね。

 例えば「二倍働いてもらい、三割多くの給料を出そう」とおっしゃってます。これはまさに経営の真理です。生産性を上げるためには、時間内の効率を上げること。働く時間を増やすわけではないのです。時間内の効率を二倍にアップさせること。そうすれば、三割給料を上げても成功します。中小企業の場合は、三割は無理でも、一流企業と同じくらいかそれ以上の給料を出すこと。給料が高ければ、人が辞めないで、ついてきてくれます。でないと、優秀な人から辞めて行ってしまう。そうなると結局潰れてしまうので、給料をなんとかして出します。もちろん実際はものすごく大変なことです。私も赤字で苦しいときは、社員のボーナスを半分にしたことがあります。ですが、黒字になったときには、そのボーナスを返上しました。そうすると、社員に喜ばれるし、安心してついてきてくれるんですね。

●給料規定を定める

 給料は規定を定めることです。社長の思いこみで給料を決めてはいけません。それでは社員がついてきません。社員の信頼感を維持するためには、規定が大事です。

 給料規定は、二つのバランスで決めます。まず一つは、年齢別。社会生活を維持するために必要な年齢別の給料は必ず与えます。もう一つは、能力給。業績を上げたかどうかで、給料を定めます。成績のいい人にはたくさんの給料を出し、成績のあまりよくない人には出さない。この二つのバランスで給料を決めます。この規定だと社員も納得します。納得すれば、給料に差がついても、不満が出ません。給料規定がしっかりしていれば、社員は「一生この会社で働いてもいいな」と思います。いい人材をいかに残すかについては、給料規定が大事なのです。

●経営とは、オーケストラである。

 小澤征二さんのウィーン・フィルハーモニーを観ていて思ったんです。経営とはオーケストラであると。経営者とは、オーケストラに例えると、作曲家であり、指揮者であり、マネージャーなんですね。この三つを社長が一人で行う。作曲家とはビジネスモデルや方針の作成です。指揮者とはリーダーシップ。マネージャーとは経営管理です。進むべき道を示し、明るい展望を語り、それを実現するシステムを管理します。社長は広範囲な仕事をしなければなりませんが、これが経営者にとって必要な能力です。

●質疑応答編

●直感型社長は、理論型の参謀を持つ

質問 直感型の社長は唯我独尊であることが多いですし、たとえ参謀がいたとしても、意見を聞かずに、すぐに始めてしまうのではないでしょうか。

潮田 たしかにその傾向はあると思います。直感型の人は、即断即決で動きます。しかしそれはリスクが高い。大きな失敗をする可能性があります。私も即断即決型なので、自分の手に「即断即決するな」と書いていたほどです。それでも、すぐに始めてしまう。だからこそ理論型の参謀が必要なんです。私の場合は意図したわけではないのですが、振り返って見ると、必ず参謀がいました。大きな失敗をしないためには、参謀がいなくてはいけません。直感型の人は、ゆっくり進むという心構えを持つことです。必ず参謀に「自分はこういうことをやりたいのだが、どう思う」と聞く姿勢が大切ですね。理論型の参謀は、過去のデータから推測して、そのアイディアのメリット・デメリットを把握してくれます。これが、後々役に立ってきます。このスピードが、ちょうどいいペースですね。

●目標を達成したかどうかで給料を決める

質問 能力給での評価基準をどう設定していいのか分かりません。能力を評価するシステムはどう作ればいいのでしょうか。

潮田 業績を数字にして客観性を持ったシステムを作ることです。これはコンピューターで管理します。このデータ化がテクノロジーの最も素晴らしいところですから、積極的に活用します。特に営業や企画の場合に数字で評価しやすいですね。総務や人事の評価制度は、システムをどう効率的にするかという目標を決めさせます。それを実現できたかどうかで評価すればいいですね。これは営業や企画も同じですが、目標を定めてそれを実現させたかどうかで判断します。

●アイデアを出し尽くしたときに、他の部署へ

質問 人事異動のタイミングに悩んでいます。社員が一つの部署にいる期間は、どのくらいが適切でしょうか。

潮田 ポイントは、アイデアを出しつくしたときですね。社員はある部署でノウハウを蓄積しながら、やりたいことを発見し、それを実現するためのアイデアを出します。そのアイデアを実行し、結果を観察し、よりよく改善していく。これを繰り返しているうちに、アイデアがもう浮かばない状態になります。その人がその部署でできることをすべてやってしまったわけですね。このときに他の部署に回すのです。違った仕事をすることで、新たなアイデアが浮かんだり、さまざまな発見をします。マンネリは絶対にいけません。ある部署でノウハウを全て吸収するインプットとアイデアを吐き出すアウトプットをし尽くしたとき、他の部署に移動させます。そうすれば、社員のモチベーションも上がりますし、会社も活性化します。社員には進歩する喜びを与えること。組織もマンネリ化するので、つねに活性化させることを考えることですね。

●上司の仕事は、部下を育てること

質問 年齢を経た社員は能力の割に高給料なので、悩んでいます。

潮田 五十代後半の人達は、スピードが圧倒的に遅いんですね。現代のスピードについてこられないのが現状です。実際に仕事をしているのは、若い社員たちです。ではどうすればいいかということですが、若い人たちを上手く使える人は、歳を取っても大丈夫なんです。若者を理解して生かすことができればいい。これが上司の条件です。そして、若者に成長させる機会を与えること。これが上司の仕事です。人の使い方と育て方を知っている人なら、高年齢だろうと問題ありません。

●経営書を読む

質問 経営についてもっと詳しく知りたいです。潮田会長がすすめする本を五冊ほど教えて頂けないでしょうか。

潮田 まず松下幸之助さんの本がいいですね。たくさん出版されていますし、どの本も素晴らしいので、ぜひ読んでみてください。記念館に行くこともおすすめします。他には、ピーター・F・ドラッカーの『マネジメント?基本と原則』(ダイヤモンド社)。ドラッガーの本はすでに古典ですが、経営者必読の本です。 ジェームズ・C. コリンズの『ビジョナリー・カンパニー』(日経BP出版センター)。これは第二巻が特に素晴らしい。私は年に一度は読み返そうと思っている本です。そして、アルフレッド・P・スローン『GMとともに』(ダイヤモンド社)と伊丹敬之氏の『経営戦略の論理?見えざる資産のダイナミズム』(日本経済新聞社)もおすすめします。これらの本だけではなく、本をたくさん読むことが大切ですね。本を読む習慣をつけること。必ずメモを取ること。文字から情報を確実に得ること。

 本の読み方は、目次を読んで、興味あるところに印をつける。その興味あるページだけを読むこと。これが早くコンパクトに内容が掴める読み方です。年齢に関わらず、いつまでも勉強しつづけることが大切ですね。

潮田健次郎(うしおだ・けんじろう)プロフィール

1926年東京都生まれ。小学6年生の時、結核でサナトリウムに入る。家業の建具屋を関東最大の建具卸問屋に発展させる。66年住宅用アルミサッシ事業に進出、翌年東洋サッシを新設。アルミ建材総合メーカーとして事業を拡大し、85年に株式を上場。92年社名をトーヨーサッシからトステムに変更。2001年INAXと共同持株会社INAXトステム・ホールディングスを設立、会長に就任。2004年10月にINAXトステム・ホールディングスから住生活グループに社名変更。

KIGYOKA.COMより
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